匠のコラムColumn

2025年4月1日施行の建築基準法改正は、主に省エネルギー性能の義務化と構造・防火・確認制度の見直しを軸に、住宅・建築業界全体に大きな影響を与える改正です。以下、重要ポイントを体系的に詳しく解説します。

改正の背景

◇脱炭素社会の実現に向けた国の方針
日本政府は「2050年カーボンニュートラル」「2030年度に温室効果ガスを2013年比46%削減」の目標を掲げています。

◇これまでの制度は不十分
従来、住宅(特に木造)は確認申請や省エネ審査の“特例”対象で、実質的な審査が省略されることが多く、省エネ性能が担保されていませんでした。

主な改正ポイント6つ

①省エネ基準の義務化(住宅も対象)
・改正前:300㎡超の非住宅建築物のみが対象。
・改正後:すべての新築建築物に適合義務。
・住宅:断熱性能(UA値)と一次エネルギー消費量の両面で評価。
・非住宅:一次エネルギー消費量で評価。
・対象外:床面積10㎡以下、文化財など。

補足: 長期優良住宅やZEHとの整合性も求められます。

②4号特例の縮小と「新2号・新3号」分類への再編
・改正前の4号特例:木造2階建て500㎡以下の建築物は、構造・省エネ等の詳細審査が不要。
・改正後の新分類
→新2号建築物:木造2階建て全て、または平屋で延床200㎡超(構造・省エネ審査が必要)
→新3号建築物:平屋かつ延床200㎡以下(一部特例あり、都市計画区域内では確認申請要)

影響大:これまで4号特例で確認不要だった戸建住宅の大多数が、新たに詳細審査対象になります。

③構造計算の対象拡大と合理化
◇改正前:木造500㎡超に構造計算義務。
◇改正後:延床300㎡超の木造建築物が対象に。・階数・高さの制限が**「3階以下かつ高さ16m以下」**であれば、簡易計算(仕様規定)でもOK。・二級建築士でも設計可能な範囲が拡大。

④防火規定の合理化(木造の活用促進)
大規模木造建築(延べ3,000㎡超)にも木材利用が可能に。
・新たな設計手法(燃えしろ設計など)で耐火性能を担保できれば、内装現し(木の見える仕上げ)も可能。
中層木造(5~9階建て)の実現性も高まります。

⑤既存不適格建築物の規制緩和
◇リフォーム・増改築時のハードル軽減。
・大規模な省エネ改修を行う場合、避難経路や日影規制などの既存不適格に関する制限を一部緩和。
・再生可能エネルギー活用や断熱性能強化を後押し。

⑥壁量計算のルール見直し
・重い屋根材(例:太陽光パネル搭載)の普及を受け、壁量計算の基準を見直し、安全性確保。
・仕様規定に沿った設計でも、重量を踏まえた構造安全性が求められます。     

実務への影響

◇設計者・工務店の対応が必須
・申請時の図書類:平面図、立面図、仕様書、構造計算書、省エネ計算書 など。
・新制度対応のソフト・支援センターの利用が進む。

◇後期に注意
・2025年4月1日以前の確認済証でも、着工がそれ以降の場合は新制度適用の可能性があります。
◇オンライン申請推奨(国交省目標50%以上)

まとめ

・省エネ義務化:すべての新築建築物に適合義務(住宅も含む)
・4号特例縮小:木造2階建ては構造、省エネ審査が必要に
・構造規定見直し:300㎡超で構造審査義務、条件により簡易化
・防火規制緩和:木造中~大規模建築の自由度工場
・既存建物改修緩和:断熱等の省エネ改修促進、制限一部緩和
・壁量計算改定:思い屋根材対応で耐震性強化

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