●2005年完成　Ｎ様邸 広い庭を通り、アーチを抜けると明るい玄関ホールが現れる。そこに品よく置かれたテーブルとイスがこの空間を惹きたてています。室内には、ご夫妻自らが足でお店を捜し、この家に調和する品々を吟味しているという。家具、調度品ひとつひとつが主役となり、この家にそれらの居場所がきちんと存在するのだ。 　オーク材のダークブラウン色の床に淡いやさしいサーモンピンクの壁。この空間に、ロッキングチェア、チャーチチェア(教会の椅子)、アンティーク食器、アンティークの置き時計が点在している。異国の香りが漂い、ひと昔前の外国へ訪れたかのような錯覚さえ覚えてしまう。 ここに居る家具たちは、私たちが生まれるずっと前からこの世に存在する。マエストロたちの技により、ひとつひとつ愛情込めて造られたものである。このご家族の手に届くまでには、数え切れないほどのたくさんの出会い、思い出、絆、別れがあったに違いない。また、これから何百年後、どんな風に使われているのだろう・・・。ここを訪れるとそんな思いが胸をはせる。 　ご夫妻の「古き伝統ある物を大切にする」という温かい心が子どもたちへと伝わることでしょう。 　住まいを通して「人」「物」を大切にするということを教えてくれている気がします。